獣医さんの電子工作とパソコン研究室 |
26-4.ACアダプタ設計について |
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ACアダプタですが、コレは直流電源ではありません。 電池駆動の製品や小型の製品をAC(コンセント)に接続して使用するまたは、一旦充電して 使用するためのアダプタという位置づけになります。 したがって、本体のDC入力回路と組み合わせで直流電源を構成するように設計されています。 直流電源として本体側、ACアダプタ側での回路の切り分けポイントが各社(設計者)により まちまちです。したがって本来適正組み合わせ以外で使用するものではありません。 単独でほかの用途に使用するとまともな直流電源とはなりません。なぜならば、十分な平滑回路 (キャパシタの容量)および安定化回路が欠落(本体側にある)しているためです。設計の仕方によっては、トランスと整流器(ダイオード)だけという製品もあります(主に充電専用型)。 ACアダプタは・・・ * 平滑回路が十分でないためリップルは当然あります。本体側の平滑回路と安定化回路でリップルの頂上(最高電圧点)まで使用できるようになっています。 * リップルのある電圧をテスターで測るとリップルの山と谷の間の電圧となり、定格より低い電圧を示す場合もあり一概に異常とは言えないこともある。本来の設計計算書に照らし合わしてみないと判断できない。 * 銘版の定格表示ですが上記のような性格から概略表示となっています。 応用について、ACアダプタは平滑容量が圧倒的に足りません、そこでACアダプタから電源の供給を受ける回路側に大容量のキャパシタを取り付けて使用していただければ、リップルが小さく安定して使用できます。 キャパシタの容量目安は15000μFΩを最小値として30000μFΩ程度とすればよい。(経済的には) *μFΩとは平滑容量と負荷抵抗の積です(平滑係数)。 例 : 負荷抵抗の求め方 回路供給電圧(回路に加えたい電圧) [V] を 負荷電流(回路に流れる電流) [A] で割った値が 負荷抵抗値 [Ω] です R [Ω] = E [V] / I [A] 電圧 = 6V 電流 = 800mA の場合 6 / 0.8 = 7.5Ω 例 : 平滑容量の求め方 平滑係数の値(15000 〜 30000) [μFΩ] を 負荷抵抗 [Ω] で割った値が平滑容量 [μF]です。 15000 / 7.5 = 2000 〜 30000 / 7.5 = 4000 ∴2000μF から 4000μF 外付けのキャパシタは平滑容量からACアダプタ内蔵のキャパシタ容量を引いた値でいいわけですが、ACアダプタ内部のキャパシタは33〜1000μF程度よくて2000μFです、トランスの高熱の影響もあり容量抜けしている場合があるのでACアダプタ分は計算に入れない。 * キャパシタの耐圧・・・ 定格出力電圧 x 1.4(無負荷係数) x 1.1(AC変動係数) / 0.8(軽減係数) 上記の計算で求めた値より大きい定格耐圧のキャパシタを使用してください。 概算値 : 定格出力電圧の2倍以上 PS ACアダプタのキャパシタ(プリ平滑容量)が容量抜けを起こすとリップルの谷電圧が異常に下がり 本体側の安定化回路の最小入力電圧値を下回り、安定化回路が誤作動して機器が正常に動作しないことがあります。 長々とACアダプタの設計思想について喋らせていただきましたが、構造と中身に理解を示していただきありがとうございます。ACアダプタの性格を理解していただき、本来の目的および応用で使用していただければ幸いです。 以上 PS2. |
松浦様、ご指導ありがとうございました。 2006/11トランジスタ技術 P133にも電源用トランスの定格を求める簡易設計法という記事が出ていますので、参考にしてください。 |
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Release 2006/10/12 |
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