獣医さんの電子工作とパソコン研究室
 
21-2. FCRシステム雑感
 

 FCR (Fuji Computed Radiography) 当院納入時のシステム  2004/03

@〜D 画像読取装置、フィルムプリンタ

@ FCR画像読取装置・・・XG-1V 
A 富士メディカルドライプリンタ・・・DRYPIX1000
B 読取装置操作コンソールマシン・・・DELL OptiPlex GX60 (Celeron 1.8GHz)
   Memory 384MB , HDD 18.63 GB , Windows 2000 Professional
C タッチパネル式液晶ディスプレイ・・・EIZO FlexScan L351P
D 100Mハブ・・・CentreCom FS708XL

E〜 H DVDファイリング&画像表示装置 LF-C1

E 画像ファイリング本体・・・DELL OptiPlex GX270 (Pentium4 2.4GHz)
   Memory 512MB , WDC WD800BB-75CAA0, 80GB, ATA/100, 7,200rpm
   Windows XP Professional
F モニタ・・・DELL 19インチ液晶
G 無停電電源・・・APC Smart UPS 500
H DVD-RAM・・・Panasonic LF-D200 (SCSI)

 結線図概略
 

 


 
IPプレート

IP(イメージングプレート)・・・画像を保持しておく物体、従来のフィルムにあたるもの。
フィルムと違い、何度も使用できる。

構造:

 

原理:

  1. 写真フィルムの代わりに、「輝尽性物質」と呼ぶX線感光材料を塗布したイメージング・プレート(IP) に、X線像を露光する。
  2. 細いレーザー・ビームでIPを走査すると、輝尽性物質は、そこに露光されたX線量に比例した強さの可視光を発するので、これを受光して、画像データ(2次元配列の濃淡値)を得る。
  3. 画像データを、コンピューターを経由して画像化装置に出力し、写真像としてプリントする。

X線撮影法について技術的なお話を掲載されているサイトを見つけました。
モノを調べるコンピューターの話 
§6 X線撮影法の改革を目指して
 にFCRのお話があります。
いろいろ参考になる内容です、ぜひご覧ください。



このシステムについて思うこと(雑感)

◆IP読み取りコンソール:
 EIZOのタッチパネル式液晶ディスプレイ・・・「こんなの必要ないでしょ。マウスとキーボードのみで充分。この分、安くしてもらったほうがありがたい」と思っていたのですが、使ってみると割合便利でした。
 マシンは DELL OptiPlex GX60 Celron1.8G、OSはWindows2000Professional でした。

◆LAN:
 100Mbps-HABを中心にLANですべてのマシンがつながっており、IP読み取り装置(XG-1V)とコンソール(DELL Optiplex Gx60)もLANケーブルのみの接続となっています。メーカーはクローズドのLANを想定していますので、導入時に院内のネットワークに組み込む場合は、その旨を伝えておかないと、IPアドレスの設定が自分ではできませんので気をつけてください。

◆ドライプリンタ DRYPIX1000:
 ドライフィルムプリンタは熱転写方式で、1分半程度でレントゲンフィルムと同じような感じのものが出力されてきます。これをシャーカステン(蛍光灯が後ろから照らしているやつ)に掛ければ、いままでのフィルムと同じように見せることができます。
 しかし、このプリンタ、とにかくうるさい! いまどきこんなにファンをぶん回さなくてもいいのに・・・と思いました。あまりうるさいので、使うときのみ電源を入れています。 メーカーの説明によると、熱を使うヘッドだからと言うことですが、印刷していないときはヘッド部に熱は加わっていないでしょ!
 このプリンタ、内部にフロッピードライブを内蔵していて面白いですね。それと、DICOMインターフェースなるものを取り付けていました。どうもハードゥエア・エンコーダーボードみたいなものだと思います。

◆画像ファイリング装置 LF-C1:
 導入前にいくら尋ねても、どんなものかわからなかったのが、このマシン。なんで読み取りコンソールにパソコンを使っているのに、別にもう一台必要なのか? とっても謎でした。
 要するに、このマシンの請け負っている仕事は、読み取りコンソールから出力されるDICOM形式のファイルを保存(DVD−RAM)、表示、画像の加工とこれだけなんです。 これなら、コンソールのマシン1台でできると思うのですが・・・。同時に並列してソフトが動いていなければならないわけでもないですし・・・。 要は、FCRのシステム自体が、大病院で使われているものなので、その大規模システム用の流用で、こんな感じになっているのでしょう。
 しかし、DVD−RAMをSCSIボード付けて外付けで使うのなら、最初から内臓式のものを付ければいいのに・・・。動物病院ではスペースファクターは重要なのに、こんなデッカイマシンは嫌われますよ。そのうち、内臓にしてしまいましょう、ドライブも安くなってきたことだし。

◆DICOM:
 導入前は、コンソールからのデータはJPGなどの画像ファイルが流れてくるものと思っていましたが、これが複雑で、DICOM形式という医療画像の統一フォーマットのもので保存されるんですね。このDICOM形式には、画像データとその患者データまでをも含んでいるらしいのです。この辺も導入前にわかりませんでした、というよりDICOMというものすら知らなかった。
 しかも、読み取りコンソールとこちらのマシン、Microsoft SQL サーバーが走っていて、データベースを構築していたんです。 もう、私のいじれる領域ではありません。
 要するに、このマシンは、DICOMビューアというものらしいのです。FCRのみならず、CT、MRI、などから飛んでくる画像なども表示、ファイリングできるわけです。
参考HP  DICOM日本語ホームページ  DICOM Homepage(英文)

◆最後に:
 とても高価な診断機器を導入してしまいましたが、今までのフィルム代と自動現像機のランニングコストを考えると、このFCRシステムは導入してしまえは電気代だけですので、幾分、経費節減になりますね。

 導入して1ヶ月、最初はLCDディスプレイの画像に違和感がありましたが、慣れてくると、画像の拡大、縮小、コントラスト、明度のコントロールなど、本当に便利です。
しかし、逆に、フィルムのときと違って、画像のエフェクト加減では見えないものが見えてくるため、注意が必要です(特に胸部)。

 「線量が低減できる」という記載や話を聞きますが、実際には今まで使っていたフィルム撮影法方(アルミグリッド、一般的カセッテ使用)と同程度の線量でないと上手に写りません。カーボングリッドとカーボンカセッテを使った場合の線量低減効果ほどないような気がします。
 
 FCRでも撮影には散乱線を低減するためにグリッドの使用が必要です。私は好んで10:1のアルミグリッドを使います。これは本当にリス目(縞模様)が出ません。一般用のものは6:1とかで縞模様が出ます。ディスプレイで表示されると、モアレとなって大変見難いです。
当院にはブッキー撮影台もありますので、こちらで撮影してもほとんどリス目(縞模様)は出ません。

 現在はIPプレートを用いたデジタル処理ですが、ゆくゆくはCCDのプレートで、撮影と同時に画像が出てくるようになるのではないかと思います。歯科用のレントゲンでは口の中にCCDプレートを入れて撮影するシステムが、既にあるようです(すっごく高価)。

◆お手伝いします:
 「導入したが、診察室にディスプレイを持ってゆきたい」または「導入を検討しているのだが、詳しく知りたい」という方は、素人の私の知りうる知識の範囲でアドバイス差し上げますのでご連絡ください。


 
このページに関する内容は、個人の技術的興味における範疇のものです。
メーカーへのお問い合わせはご遠慮いただくとともに、本体の改造などは個人の責任で行ってください。
Last up date 2004/4/20

 

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