獣医さんの電子工作とパソコン研究室
 
 27.単セル・リチウムイオン電池の充電
 

  
 ノートパソコンのバッテリー交換をした後、取り出したリチウムイオンバッテリーは、捨てる運命ですが、完全に起電力の無くなったもの以外は大容量の電流を必要としなければ、まだまだ利用できます。
 以前、ノートパソコンから取り出したリチウムイオンバッテリーを再利用しようとして、他のバッテリーと同様に簡易充電したらだめにしてしまった経験から、なんとか正しく充電したいと考えていました。ここに、簡単でかつ正しく充電することができるようになったのでレポートします。 
 


 1.リチウムイオンバッテリー 
 
 従来のニッカド電池やニッケル水素電池に見られるメモリー効果がなく、高容量、高電圧、高出力電流、さらに公害規制物質を含んでいないため無公害です。
 しかし、過充電、過放電に弱いですし、充電には十分な注意が必要です。
 リチウムイオン電池の充電は定電流・定電圧方式でおこないます。充電初期は電流一定で充電し、電池電圧が4.2Vになったら4.2Vの定電圧にて充電し電流がほぼゼロになれば充電完了です。
参考文献 *1 にLM317を2個使用した定電流・定電圧充電器が掲載されています。
    
 1-2.充電回路の検討 
 
 参考文献 *1に掲載されていた方法でも良かったのですが、各社からリチウムイオン電池専用の充電コントロールICが数多く販売されているようでしたので、ネットでいろいろ調べてみました。コントロールICの多くが2本以上の充電用であったり、周辺回路がめんどうであったり、入手が困難であったりします。
 最終的に選んだのは、LINEAR TECHNOLOGY http://www.linear-tech.co.jp/ より出ている1セルリチウムイオン電池充電用のコントローラーです。とにかく外付部品が必要なく、簡単に充電回路を組めそうです。
 部品の入手ですが、リニア・テクノロジーにはダイレクト販売がありました。ダイレクト販売は、アメリカのサイトに接続されますので、英文で住所など入力しクレジットカード決済で注文は完了します。初めてでしたが、数日後には品物が届きました。
このとき、10個$41.60でした。こんなサービスは私たちアマチュアにはうれしいですね。
 
LTC4054-4.2 特長
  •  プログラム可能な充電電流:最大800mA
  •  MOSFET、センス抵抗、ブロッキング・ダイオードが不要
  •  1セル・リチウムイオン・バッテリ向け、ThinSOTTMパッケージの完全なリニア・チャージャ
  •  過熱の恐れなく最大充電レートを実現する、サーマル・レギュレーション付きの定電流/定電圧動作
  •  1セル・リチウムイオン・バッテリを USBポートから直接充電
  •  ±1%精度のプリセット4.2V充電電圧
  •  ガスゲージ用の充電電流モニタ出力
  •  自動再充電
  •  充電ステータス出力ピン
  •  C/10充電終了
  •  シャットダウン時25μAの消費電流
  •  2.9Vのトリクル充電スレッショルド(LTC4054)
  •  トリクル充電なし(LTC4054X)
  •  ソフトスタートにより、突入電流を制限
  •  5ピンSOT-23パッケージ
充電電圧は4.2Vに固定され、充電電流は1本の抵抗で外部設定可能です。LTC4054は、最終フロート電圧に達した後、充電電流が設定値の1/10まで低下したところで、充電サイクルを自動的に終了します。

 

製作した回路・・・アプリケーションノートそのままです。

 1-3.製 作 
 
 問題は、製作です。パッケージがSOT-23ですので、面実装用のものです。しばし考えましたが、どこかのサイトで基板銅箔面に溝を作って、面実装部品を取り付けていたのを思い出し挑戦してみました。
 部品もチップ抵抗、チップLEDはジャンクの基板についていたものを取り外し使いました。ジャンク基板のチップ抵抗なんて使うことは無いと思っていましたが、役に立ちました
 
 回路的には複雑ではないので、基板銅箔面をPカッターでパターンの溝をつくり、そこへ部品をはんだ付けします。半田ごては15Wのコテ先が細いものを使います。最初に予備ハンダを基板面にし、はんだ吸い取り線で予備ハンダを吸い取ります。そうすると、見事にはんだメッキ状態になりますので、ピンセットを使い部品を置き、コテ先につけたはんだを、少量流してやれば固定されます。

 ルーペで確認しながらの作業となりましたが、案外きれいにでき、とても満足した結果となりました。

 1-4.組み立て  
 今回のバッテリーは、検眼鏡のボディに納めるため写真のような形で実装しました。
 充電電流は、電流コントロール用の抵抗を2.7kΩとしたため、初期の充電電流は320mA程度流れています。

 また、バッテリーに乗せた形ですので、異常な温度上昇に対するサーマル・レギュレーションの動作も働きます。

写真のように2個作りましたが、2回目のほうが面実装部品のはんだ付けがきれいにできました。

 2.充電台の製作 

 以前、こちらのページで紹介している、充電台を改造しました。充電の回路はバッテリーと一緒ですので、これを充電するためには外部に4.5V〜6.5V、500mA程度の電源を用意するだけです。充電中のLEDもつけたのですが、検眼鏡の筒の中です。筒に穴をあけ、充電表示LEDを出すことも検討しましたが、穴をあけることがあまり好ましくないので断念しました。 
しかし、これではちょっとさびしいので、外部に充電インジケーターをつけることにしました。

 

 2-1.回路の説明 
 充電インジケーターの回路は、0.1Ωの電流検出抵抗の両端の電圧をOPアンプの作動増幅器で100倍に増幅し、コンパレーターで比較した結果LEDを光らせるという回路です。

原理は簡単で、右の回路図をご覧ください。

 この回路では、手持ちのOPアンプを使用いたしました。このOPアンプは単電源用ではないので、どのような動きをするのかと思いましたが、実験の結果とりあえず動作いたしました。
ただ、出力が2V弱から電源電圧までとなっていましたので、その辺を考慮すれば、この程度の回路では使えると思います。
 電流検出用の抵抗は手元にあった5Wのものですが、もっと小さくても大丈夫かと思います。
また、コンパレータ出力は0Vまで下がらないため、そのままトランジスタのベース電圧とするとOFFになりませんでした。そこで分圧してベース電圧とすることでトランジスタSWのOFF時にLEDが消灯の動作をさせています。
 実験には、26-1.電子負荷の制作 で紹介した電子負荷が大変役に立ちました。これは、一台作っておいても良さそうです。

実験中の様子 組みあがった基板
 
 2-2.実装 
 電源には、秋月で販売されている5V/1AのSW電源を組み込みました。非常に小さいにもかかわらず1Aと余裕がありますので、この電源、ケースは嵌合のみで簡単に開けられます。小さいので機器組み込み電源としても活用できそうですね。
 実際の組み込みの様子は、右写真のような感じです。
 トランスを撤去し、5V電源とインジケーター回路を両面テープで止めました。
 
 充電用のソケットは2個ありますが、1回路しか実装しませんんでした。

 3.まとめ 
 やっと、リチウムイオン電池の充電が的確にできるようになりました。いろいろな制御用のICがでていますし、この会社のように直接販売を個人にもしてくれるところもあるようです。
なにしろ、外付けの部品が極端に少ないので、面実装のチップであるということをのぞけば製作は簡単です。今回の製作で、簡単なものならチップ部品の活用もできそうです。
 
 以上、素人の製作ですので、あくまで参考程度にしてください。また、リチウムイオン電池の充電は危険を伴いますので自己の責任の上、ご利用願います。

 ■ 主に参考にさせていただいた本・サイト ■  

 
*1
 
 

*2
 
*3
 
*4

 
CQ出版 エレクトロニクス製作アイデア集-7 パワーエレクトロニクス編
  中山昇著(ISBN4-7898-1236-7)
  バッテリー関連のたいへん情報の多い貴重な本です。今では手に入らないかも?

バッテリの基礎知識・・・バッテリーのベイサンmaxcell リチウムイオン電池

toko's Home Page・・・技術情報、リチウムイオン電池の取り扱いについて

JR1NNL Home Page・・・各種移動機材の製作、リチウムイオン充電器の製作 


New release 2004/11/23

 

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