獣医さんの電子工作とパソコン研究室 |
28-1.ピンク電話の課金信号発生器を考える |
ピンク電話(公衆電話)を引くためには、専用の回線(課金信号が乗ってくる回線)が必要です。ビジネスホンやISDN回線などでは接続することが出来ず、そのための装置も販売されております(参考)。 最近、ISDNのターミナルアダプタにピンク電話対応のISDN-TAが販売されているのを見つけました(参考)。 以前から、課金信号は極性が反転するということは聞いており、ごく簡単な構造で実現できるのではないかと考えていました。
そして、いろいろ実験して試行錯誤を重ね、ピンク電話の課金信号発生器・コントローラーを作ることが出来ましたので報告いたします。 |
1.アナログ回路で実現できないか? まず、ピンク電話課金装置LPA-1ではどのようなことを行っているのか、オシロをつないで観察すると、回線がつながった瞬間、極性がマイナスに振れ、0.5秒後に正極性にもどって通話が確立していることがわかりました。課金信号も同様に見えました。これなら簡単ということで、次のような回路を組んでみました。 |
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この回路ではフォトカプラで極性の反転を検出し、極性が反転するとCに蓄積していた電荷を放出する時間だけ遅れてリレーが働き、ピンク電話側の極性を正転させるというものです。いろいろC、Rの定数を変えて実験してみましたが、とりあえず回線が切れずに電話をかけることはできるのですが、硬貨が取り出し口に戻ってきてしまいます。付け焼刃のアイディアではだめそうです。 |
2-1.ピンク電話についてもう一度調べる ■通常の電話回線(TAアナログ電話端子の電圧変化) 電話機を接続しない、または受話器を置いた状態の線間電圧は55Vでした。 電話をかけるために受話器を上げると、線間電圧は12Vまで下がり、相手と接続が確立するとこの極性が反転します(図参照)。 |
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■LPA-1にピンク電話の場合 普通の電話機は、2本の線をどちらにつないでも通話できますが、ピンク電話は極性があります。逆に接続するとつながりません。 回線が接続されると一度極性が反転し、通話中はプラス側になっており、一定時間通話すると一瞬反転します。このときにコインが落ちます。 |
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これならば 1.で考えた回路でも動作するはずなのですが、うまくゆきません。 実は、この電圧の観察をMETEXのテスタでパソコンに取り込んで見ていたので、次の解説にでてくるような信号波形をはっきり捉えられなかなったのです。同時にオシロでも見ていたのですが、ただ反転すればよいと簡単に考えていました。 |
2-2.さらにピンク電話についてネットで調べると ありました、NTTの技術資料・電話サービスのインターフェース、第5版 という中に、硬貨収納等信号送出機能 の解説がありました。 ピンク電話専用の回線では、通常の回線と違い課金信号(硬貨収納等信号)が送られてきます。これらには、応答収納信号、通信中 収納信号、100円収納信号 があります(下図参照)。 ピンク電話を正常に動作させるためには、これらの信号を作ってやらねばならなかったのです。 |
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ここまでたどり着くには、かなり紆余曲折がありました。 なんとなく動作するのですが、不都合が次々に出てきて、どこが問題なのかを探りながらの作業でした。 硬貨収納信号のタイミングもしっかり作らないと正常な動作をしませんでした。 |
4.ソフトウェア |
PIC-BASICのソフトを公開いたします。BASICですし簡単な制御ですので、リストを見ていただければどのようなことをしているのかすぐにわかると思います。この程度のものであれば、PICで簡単に作れると思います。 |
>>> ptel_control.pb
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5.今後の展開 |
DTMFデコーダーがTAのジャンクについていたので、これを追加して、電話番号を解析し、それに応じた課金信号を送出するようにし、うまくいったらケースに収めてと考えています。
乞うご期待。 |
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■ 主に参考にさせていただいた本・サイト ■ | |
*1 |
CQ出版 トランジスタ技術SPECIAL No.8 特集:データ通信技術のすべて |
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New release 2005/6/9 | |